システム1による、自分に都合の良い解釈=「確証バイアス」
「確証バイアス」とは、認知バイアスの一種で、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識的に集めてしまい、反証する情報を無視したり、集めようとしなかったりする傾向のことを言う。最初に思い込みがあると、多様な情報があっても、最初の考えを支持するような情報ばかりが目に付いてしまうのが「確証バイアス」。SNSで色んな情報を調べるときや、人に色々話を聞くときに、「自分の考えの裏付け」の確証を得る情報ばかりに気を取られやすくなり、その反例や相対する情報や意見には目がいかなくなる。都合の良い情報だけ、ピックアップし、「やっぱ自分は合ってるな!」って思うバイアス。これもシステム1の無意識に起こる思考。
確証バイアス:血液型の例
「A型は几帳面」「B型はマイペース」「O型はおおらか」「AB型は変わり者」など、日本では血液型と性格を結びつけるのはよくある話。科学的根拠がないという見方も多いなかで、どうして人は血液型占いを信用するのか・・・それは、「当たっている」と実感したことがあるからかも。例えば、A型のXさんがデスクを片付けている様子を見たとき、「やっぱりXさんは几帳面だ!」と思ったとする。これは典型的な確証バイアスの一つ。A型は几帳面だという思い込みがあるために、Xさんのデスクの片付けという行為に過剰に反応してしまう。しかし、Xさんのデスクが前日まで散らかっていたことは全然視覚に入らない。A型の人がたまたま片付けをしているのをみて、「やっぱA型は几帳面だな!」と勝手に確証してしまう。
確証バイアス:ビジネスの例
ビジネスにおいても、新しいアイデアを事前に検証する際、成功に対する思いが確証バイアスを強めてしまう可能性がある。確実にローンチにこぎつけるために、都合のいい情報ばかり集めてしまうわけだ。
確証バイアス:人事の例
採用においても同様だ。例えば「体育会系部活動を経験し、一定ランク以上の大学出身者」という理想像が企業側にあったとする。理想どおりの属性の新入社員が入社し、彼・彼女の瞬間的な活躍を見ると、人は「やはり理想の人物像は正しかった」と確証を強めてしまうわけだ。実は、インドア派で読書好きな性格だっとしても、たまたま「体育会系部活動経験者の優秀な学生」の活躍ってビジョンに一致すると、それがたまたまであったとしても、「やはり!俺の目に間違いなかった!」と採用側は思ってしまう。自分の理想に合っている部分しか、物事を見れない「確証バイアス」。
確証バイアスの軽減
確証バイアスを軽減させるためには「反証する情報」を取り入れることが必要。有名なのは、イギリスの認知心理学者であるペーター・カスカート・ウェイソン氏が1966年に考案した、4枚のカードによる「ウェイソン選択課題」。例えば「3」「8」「赤色」「茶色」と書かれた4枚のカードがあり、「カードの片面が偶数ならば、その裏面は赤い」という仮説を確かめるために、ひっくり返す必要があるカードはどれかという課題があったとする。「8と赤色」のカードを裏返そうと思ったのであれば、不正解です。正しくは「8と茶色」です。なぜなら、仮説の反例になるのは「偶数が書かれている裏が赤色ではないカード」だけだからです。この考え方を日常に取り込むことで、確証バイアスを軽減させることができます。バイアスは誰もが持ち合わせていて自然なものだが、バイアスを矯正しないまま進んでしまうと、理想状態からかえって遠ざかってしまうことがある。
これもシステム1の仕業。
システム1が「反射的に」この思考をつかさどる。システム2は一体何やってんの!?そう思うだろう。しかし、システム2は簡単にはその重い腰を上げない。自分で意識的に動け!って言わない限り動かない。だから人間は時に見誤った判断をしてしまう。