第三章
ここは、インドの中でも田舎のテランガナ州ナガルドーディ村。ここでは、細々とではあるが、当社が独自にインドの農家と契約を結び、コットン栽培を行なっている。これは、先月の出張で感じたことを書き綴ったブログの最終章。下のブログの続きだ。
インドの闇:児童労働
途上国を中心に児童労働が問題となっている。文字だけをみれば「子どもが働いている」こと。では、何がいけないことなのか。そもそも児童労働とは、15歳未満で就労し、または18歳未満で危険で有害な労働に従事することで、十分な教育を受けられずに、子どもに身体的、社会的、精神的、道徳的な悪影響を与えることで、その殆どは、貧困と差別から発生している。
元はと言えば、この農場はとある日本のNGOさんが、児童労働撲滅の活動をしており、そのプロジェクトを民間企業の我々が引き継ぐ形で、8年前より当社で運営を行なっている。なので、NGOがこの村に入って、児童労働を無くそうと努力されてから、もう10年程は経過していることになるのか。
そこで現れたこの青年
自分が今回この村に入って、村の農民たちと集会をしているとあることに気がつく。意外と若い子の方が、英語が話せて、年配者はテルグ語しか話せないということに。なるほど、、年配者はきっと昔からちゃんと教育を受けていなかったにしても、今その子供たちは少しずつ話せるってことは、教育が行き届き始めているってことか。そんなことに気がつき始めた時、青年が声をかけてきた。
青年「一緒に写真撮って良いですか?」
私「もちろん!ところで、なんで英語話せるの?」
彼はスマホを取り出し、私と写真をとる。
青年「はい!私は16歳で今学校に行っています!」
私「もしや、昔この村で働いたことある?」
青年「はい。あります。ただ、今は学校に行って勉強をしてます!」
この会話が、どれだけ深い意味を持つか。要は、我々のプロジェクトが年月を経て、本来NGOさんがやりたかった「児童労働が撲滅」され、若い子達に教育が行き届き始めていると言うことだ。
ここにいると、日本が数十年かけた時の流れが、たった二世代で行われていることがわかる。英語も話せず、現地語だけで会話し、外の世界を見ることもなくコットンを育ててきた両親と、スマホを片手に私と英語で会話をして、現在学校に通う16歳のその息子。教育とは、どれだけその本人の人生の選択肢を広げることになるのか、この状態を見ても一目瞭然。「学校にいく」っていう、当たり前の事をしただけで、彼の人生は大きく変わったに違いない。教育の重要性、改めて、めちゃくちゃ色々考えさせられた。
我々が行なっている仕事は、規模は小さいながらも、完全にSDGsプロジェクトと言える。なんとか、これをもっとビジネスの観点から継続できるようにしていってあげたいものだ。