当時のDVDレンタル超絶大企業「ブロックバスター」は、数年で事業が後退し、一瞬で「ベンチャー企業NETFLIX」と「大企業ブロックバスター」の立ち位置は逆転した。「NETFLIX」が行って、「ブロックバスター」が出来なかったこと・・それは、「時代の流れに合わせて、自分自身を変化させること」であった。「ベンチャー企業」が出来て「大企業」が出来ずに、結果的には「大企業」は衰退した。これから話すNETFLIXで行われた“真逆のこと“が、大企業で仕事をするサラリーマンのあるあるだ。これを読むと、NETFLIXの変革のスピードと成長性を感じるとともに、日本企業って全然成長しないわけだ・・・と痛感するかもしれない。それでは見てみるとする。「NETFLIX」自身が2000年当初に窮地に追い込まれたときに行った3つの「変革」がこの本のメインテーマ「NO RULES」に結びつく。その3つの変革とはこちら。
- 能力密度を高める
- 率直さを高める
- コントロールを減らす
Netflixの利益を最優先して行動せよ
Netflixには、日本の会社にあるような経費に関するルールがない。日本の会社の場合、社内監査やわけのわからんルールで、「この経費はここまでならOK」「このお金は経費計上できない」などのルールが存在する。社員の経費の無駄遣いを抑制するために設定されているルールは、実は真逆に働いているといっているのがこの本。「ルール」が設定されていることで、実は「縛ったルール」によって、プラスに働いたであろう力を逆に抑制されているようだ。例えば、「時間」だ。私が日本で仕事をしていたときは、中国出張から帰って来ては、その翌日は「経費精算」の時間で午前中は終わる。出張レポートを書いて、領収書を貼って、エクセルに経費をまとめて、プリントアウトした書類を上司に渡して、上司がチェックして、それを経理に渡す。これで終わりかと思いきや、経理から上司に連絡が入る。「ここの数字間違ってるよ」「これは項目はこっちだよ」と・・・。そして上司から私に連絡が入り、終わったとも思った経費精算を再度やり直す。そして、プリントアウトして再度上司に提出・・・・。これが煩わしいから、出張から帰ってくる飛行機の中で、その書類を作ったり、土日におわしておいて、月曜日の仕事に影響を与えないように早めにやったこともある。これが当たり前だと思っていた。言っておくが、この「仕事らしき時間」には、一円も生み出していない。そして、何も考えず、何人もの人が時間をかけて、出来上がったルールを破らないように動いているだけで、これは「仕事」ではない。無駄な時間以外何者でもない。
Netflixの経費精算
だが、Netflixは違う。出張で使ったレシートを写真で撮って、経理に送って終了。上司の印鑑やサインなど、中継するものは全くなし。経理もいちいち「これは何に使ったか?」とも聞かない。全ては、「Netflixの利益を最優先して行動したか」というコンテクストに乗っ取り個人に権限が全て託されている。しかし、「私的に会社のお金を使ったこと」がバレたら、どんだけ優秀な人であっても速攻でクビになり、その全貌は全社員にシェアされる。だが、そうすることで逆に、経費精算に使用されていた「時間」を節約できるようになっただけでなく、個人に経費の使用権限の自由を与えることで、各社員が合理的な経費の使用を自分で考えるようになり、各社員の責任感と主体性がどんどん増していったという。
全く異なるスピード感
ちなみに、他にも、日本の会社には「稟議規定」、つまり「会社の偉い人にお許しをもらう規定」というものがある。例えば、「いくらまでの投資なら、誰々の了解を得なければならない」や、「いくらまでの売掛債権は、誰々の許可を得なければならない」というのがビジネスの金額によって会社では規定されている。その社内の了解を得るだけも、とてつもない「時間」と「労力」がかかるのが日本の会社の典型的な特徴だ。しかし、Netflixにはそんなものもない。100億ドルの投資案件でも、上司の許可を取らずに決めてしまう社員もいるそうだ・・・スピードが全く違う。