Wasureru maeni nokosumemo

備忘録

Ideas Life

719回目:ファスト&スロー〜置き換え(sub-stistution)〜

上司「昨日の営業、途中退席してごめん。お客さん、ウチに依頼するか、決めてくれた?」

部下「大丈夫だと思います。

上司「大丈夫って……決まったのか、決まってないのかが、知りたいんだけど。」

部下「あ、まだ決まってないです。」

上司「そうか、決まるかなと思ってたけど……。お客さん、何か懸念事項について言ってた?」

部下「金額について不満そうでした。

上司「もう一度聞くけど、不満だと「言った」の?」

部下「いえ、たしか……言ってないかと。」

上司「じゃ、なんで不満だと言えるの。」

部下「えーと…」

上司「もう一度聞くけど、なんて「言ってた」?」

部下「ええー……確か、金額については交渉の余地がありますか、と言ってました。」

上司「交渉ね……、なんて回答したの?」

部下「私の一存で決められませんので、持ち帰りますと。」

上司「そしたらお客さんはなんて言った?」

部下「納得してくれたみたいでした。

上司「だ、か、ら、お客さんはなんて言ってたの?」

部下「あ、すみません。えーと……確か、わかりました、と言ってました。それと、今思い出したんですけど、見積もりを指定の様式にして欲しいとも言ってました。」

見てるだけでイライラするこの会話

これはとある上司と部下の会話。いわゆる「全く話が噛み合わねーなこいつ。。」っていう会話だ。これは、とても良く起こる。自分もそう思わせていたかもしれない。私の今まで生きてきた人生の中では、こういう人が比較的アホだと評価されやすい気がする。なんで、こんなことが起きるのか。この部下の脳内で起きているのはどんなことなのか。「事実」と「意見」は分けて話せ!なんて、簡単に片付けられない。この問題を解き明かす鍵は、どうも認知レベルから掘り下げる必要がありそうだ。そして、その答えはこの本の中にあった。それは、「置き換え(sub-stistution)」と言う現象だ。

置き換え(sub-stistution)

この本の大前提は、人間の思考には2種類あって、一つ目は「システム1」の「反射的」「無意識な」「直感的な」いわば速い思考と、「システム2」の「熟考的な」「意識的な」いわば遅い思考の、「ファストアンドスロー」な思考が両方存在している。しかし、人間の脳内は基本「システム1」が活躍してて、「システム2」は怠け者で、自分から叩き起こしにいかないと動かない。この大前提を考えた上で、上のアホとの会話を解き明かす。

人間の脳「システム1」では、質問の答えに準備ができていない時や、質問の答えが分からない時、また、答えにくい時に遭遇すると、「自分が答えやすい質問に、聞かれてる質問自体を、自分で勝手に切り替える」っていう働きが、「無意識に」起こるようだ。ここまで説明してきているように、「システム1」とは、「速い思考」、つまり「反射的に」動く思考。そして、「反射」による質問のすり替え故、その質問自体は本人の経験則に基づいて形作られる。これが「無意識に」「反射」で起きる。だから、本人は気が付かない。噛み合ってないことに気がつかない。故に、こっちは「YES or NO」を質問しているのに、相手は自分の意見を発したりすることが勃発する。なるほど!笑。これが、話が噛み合わない人との会話の認知学的側面からみた科学的な知見だ!笑 スッキリしたー。

「ターゲット質問」と「ヒューリスティック質問」

このようなことが起こった時、もともと答えなくてはいけない質問を「ターゲット質問(聞かれてること)」、代わりに答える簡単な質問を「ヒューリスティック質問(勝手に自分で作り上げてる質問)」と呼ぶ。

たとえば、一番上のターゲット質問、『絶滅危惧種を救うためにいくら寄付するか?』という問いに対して、瞬時に適切な金額を答えることは難しい。しかし、そこでヒューリスティック質問、『瀕死のイルカを見かけたらどんな気持ちになるか?』という問いに自分で置き換えれば、その問いに対しては、比較的簡単に誰でも答えることができる。(たとえば悲しい!など)それを踏まえたうえで、言ってしまえば、『絶滅危惧種を救うためにするべき寄付額』と『瀕死のイルカを見かけたときになる気持ち』は直接的には関係ないが、無理やり結びつけることで、『悲しい気持ちになるからたくさん寄付しよう!』みたいな、(安直な)結論を出すことになる。これは、ワザとやってる訳ではない。人間の脳みそがそうさせている。じっくり考えても出せない答えに対して、人間の脳みそが勝手に自分で答えやすい質問内容に切り替えている。

話が噛み合わない人と話をしてる時は

このように、質問者と回答者の間でこの齟齬があるため、会話がちぐはぐとしてしまう。なるほど。。これは、相手がアホだから起きてることではない。脳内の「システム1」で、反射的に返答しているから起こることなのか。そして、それは本人は「答えにくい」と既に認識しているから、反射的に起きていること。。。じゃー、質問する側として出来ることは、一体なんなのか。それは、「システム2」つまり、「遅い」「熟考」「意図的な」思考を、相手に使わせること。「システム2」は、「意図的に」自分の意思で動き出す。だから、本人が使おう、考えよう、、としなければ動かない思考。なので、話が噛み合ってない人を目の前にしたら、そいつには、「ゆっくり考えてみ」と、言ってあげるのが正解なんだ。。そして、本人の「システム2」つまり、「熟考」が動き出して、本人はこういうだろう。。「あっ。。わかりません。。」と、、。

-Ideas, Life
-,

Copyright© 備忘録 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.