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備忘録

Africa

837回目:2023年1月ケニア出張〜ケニアで学んだ事〜

2023年01月29日の備忘録

とある国にいる

青空の中、たまに、“日本語”でアナウンスが入るTOYOTAの車でハイウェイを颯爽と走る。目的地である空港には、少し早く着きすぎるということで、我々はショッピングモールに寄り道することにした。寄り道した巨大ショッピングモールの中で、約1,500円のハンバーガーのランチを食べる。

モールの中に入れば、整然と生鮮食品が立ち並び、新鮮な魚介類や肉類が売られている。値段に目をやれば、日本円にして約700円を超えるソーセージパック。缶酎ハイは、一缶300円を超える。写真でも一発撮ってやろうものなら、そこら中にいる警備員から呼び止められ、撮った写真を見せろと言われては、写真を消去しなければならない。電化製品コーナーでは、韓国のLGテレビが120,000円ほど、日本のSONYのテレビは150,000円程で販売されている。支払いは勿論カード、もしくは、キャッシュレス決済だ。このようなショッピングモールは、そこら中にゴロゴロ立ち並ぶ。

ここは、アフリカのケニアだったはず

私が、今話をしている国は、アフリカの「ケニア」の「ナイロビ」。ケニアと聞いてたら、かなり多くの日本人は、「貧困」「飢餓」「犯罪」等を思い起こすであろう。確かに、そういうスラム街的な街並みや、物乞いにも出くわした。ただ、それが全てではない。街はかなりの発展を遂げ、ナイロビの物価に至っては、日本と変わらないのでは?というレベルまで来ている気がしなくもない。

日本⇒韓国⇒中国

今、ナイロビからムンバイに戻る飛行機の中にいる。まさかの、4時間遅れと言う困難を乗り越えて、我々は機内に座った。そこで、アフリカ出張の復習がてら、昔買った「超加速経済アフリカ」の本を読み返すことにした。

今回のケニア出張で感じたことが冷める前に、今一度、「学習」しておいて、「実体験」と「知識」を混ぜて、自分に染み込ませることにした。

早速本を開けてみる。するとまず書いてあるのは、昔、アフリカ市場は、「日本」が席巻していたということ。しかし、1980年代からアフリカの経済成長が完全にストップ、また、日本のバブルが崩壊し日本の経済成長もストップし、アフリカに進出していた日本企業がアフリカから撤退していった。弊社も過去にはケニア事務所があったようで、時代のうねりの中で撤退を余儀なくされたらしい。そこで、登場したのが韓国企業。韓国の駐在員は、「一生アフリカに駐在」をさせられるようで、日本の駐在員のように「3年で交代」なんて生易しいものではない。韓国のアフリカ駐在員は、アフリカに並んでいる日本の商品を、韓国製商品に切り替えることが仕事。日本が凹んでいる間、韓国の駐在員は提案をしまくってLGやサムスンを広げていった。2000年代になると、中国の急激な経済発展とともに、中国企業が台頭。アフリカの成人の携帯電話保有率は100%を超える。携帯電話市場を支配ているのは、「中国」の携帯電話だ。また、アフリカの道路は、かなり整理されていて、高速道路もとてもデカくて綺麗。まさに中国にいるような感覚に落ちる。そう、このようなアフリカのインフラ開発を行っているのは「中国」だ。現在、アフリカにいる中国人は、100万人にのぼり、アフリカに8,000人いると言われている日本人の約100倍にあたる。

アフリカはめちゃくちゃでかい

日本を真ん中に置いて、メルカトル図法で世界を見てみると、アフリカは左端にある。しかし、メルカトル図法の欠点は、“端っこに行くほど面積が正しくない”ことだ。では、長さを測ってみよう。アフリカ大陸の左端から右端までの長さは約7,400km。これは、「日本からシアトル」までの距離に相当する。では、アフリカ大陸の上端から下端までの長さは約8,000km。これは、「日本からドバイ」までの距離に相当する。面積で言えば、アフリカ大陸には、「インドが10個」入るらしい。また、「アメリカは3個」入る。極めつけは、「日本は80個」入るとのこと。

これで、アフリカ大陸は、実は想像以上にデカいってことがわかるだろう。日本人が、アフリカ大陸のどこかに1拠点作って、アフリカでビジネスを始めた気でいる節があるが、そういうスケールの話ではないとこの本でも言っている。

若い

0歳から最高齢まで並べて、その真ん中に来る人の年齢を「中位年齢」という。日本の中位年齢は、なんと48歳。日本の人口の半分以上が、48歳以上ということだ。50歳付近の先輩や上司に、

「これからは君たち若い世代が頑張らないといけない!」

と、言われた方もいるかもしれないが、いやいや、ちょっと待てよ。統計的には、

「まだまだ!50歳の先輩が、頑張らないといけないのが今の日本なんですよ!」

と、言わざるを得ない。一方で、ケニアの中位人口は、なんと20歳。若すぎる。それでいてワクチンの普及率も100%付近になり、乳幼児がほぼ死なず、人口爆発が起きる寸前となっているアフリカでは、出産する子供の数に規制をかけている程らしい。医療もかなり進んでいる証拠だ。

日本が発展したのは、1960年代からで、このときに18歳から60歳の労働年齢人口のピークを迎えた。中国は、2000年代に労働人口のピークを迎え最も成長したと言われている。アメリカは、今も労働人口の数はピークを保ち続けている。それは、「移民」が入ってきているからだ。今後、労働人口がピークを迎えそうなのはインド。インドの労働人口のピークを迎えるのは、2025年から2040年頃だそうだ。そして最後に、2070年に労働人口がピークを迎えるのはアフリカ。40年後の未来だ。37歳の私は絶対それまで生きている。

ちなみに、2070年には、日本の人口は約9000万人(現在1.2億人)に対し、ナイジェリアは2020年時点で2.1億人だったのに対し2070年には8億人になると国連により予想されている。これから発展するのは、インドとアフリカ。

日本が席巻しているビジネスもある

1980年代から日本はアフリカでは、韓国や中国勢に敗北していると記載した。しかし、日本の企業でアフリカ市場で成功をおさめた企業が2つある。「カネカ」「味の素」だ。「カネカ」とは、「化学で願いを叶える」をモットーとした化学メーカー。現在、弊社でもインド向けのソーラーモジュールのテクノロジー関係で商談を行っている。そんなカネカがアフリカで席巻したのは、「ウィッグ(要はカツラ)」だ。アフリカ人女性は、オシャレを頭に投資する。都会で仕事する女性の給料が、50,000~80,000円だとすると、彼女たちが頭のオシャレに描けるお金は、月々5,000~10,000円となかなかの投資金額。顔の化粧は程々に、頭に金をかけるらしい。そこで登場したのが化学メーカーの「カネカ」だ。「カネカ」が開発した繊維素材は、「不燃性」であり、「燃えない」という特徴がある。この点が、他のライバル企業には真似できない特徴となり、「カネカロン」とブランディングされたウィッグが、アフリカでバカウケしたそうだ。

「リープフロッグ」

「リープフロッグ」、要は「カエル飛び」という意味だ。これは、かつて高度経済成長のもと発展した日本や、産業革命で発展したヨーロッパのように段階を踏んで発展したというよりは、テクノロジーの進化により、発展の途中をスキップし、いきなりテクノロジーうを使って発展してしまうことを言う。今回訪れたケニアの村で、自分も「リープフロッグ」を少し目の当たりにした。

私が訪れた村は、約50集落が集まる村で、主要産業は第一次産業の農業が主体となる。自給自足の生活を行って、余った野菜を市場に持っていってはお金に変える。村の中を歩けば、そこら中に家畜のうんこが落ちており、うんこを踏まずに歩くことも困難なクソど田舎だ。キッチンを除けば、カマドに火を起こしてお湯を沸かしている。しかし、その家の屋根を見ると、ソーラーパネルが設置し、自家発電により蛍光灯の電気が灯されている。

ソーラーパネル搭載の村人の家

また、彼らは全員スマートフォンを持ち、カシャカシャ我々の写真を撮っている。更に、市場に買い物に行けば、「キャッシュレス決済」によって金を払い、野菜を購入するらしい。なんなんだ・・・この原始時代のような生活とは思いきや、突然垣間見える最新テクノロジー・・・・。これが、今アフリカで起きている「リープフロッグ(カエル飛び)」だ。今回、蚕産業を実施するためのFS(Feasibility Study)でケニアに来たが、それ以上にアフリカの可能性に大きな未来を感じずにはいられなかった。「ケニアに住め」と言われたら、私は、「全く問題無い」と、自信を持って言える。ケニアに住むのは、多分余裕だ。むしろ、ちょっと長い間住んでみたいぐらい(奥さんはどう言うか分からないが・・)。

「マサイマーケット」

最後に、「マサイマーケット」に触れておこう。「マサイマーケット」は、ナイロビのあちこちで開催されているが、注意すべきポイントとしては、「日替わりで場所が違う」ってこと。今日訪れたのは、「サタデー・マサイマーケット」だ。

マサイマーケットは、値段が書いていない。そして、めっちゃくちゃ客引きにあう。いたるところから、「ニーハオ」「こんにちは」と声をかけられる。せっかくなので、お土産を購入しようもんなら、「あなたの値段で売りますよ!」と言ってくる。これは、「旅行客の言い値」の方が、「高い利益」で売れるからだ。

だが、私は違う。まず、相手に値段を言わせる。そして、知っている。俺が日本人だからって、高めに値段を言っていることを。

マサイ「これは、1,500シリング(1,500円ぐらい)で売ります!」

私「えーー。じゃーいらないよ」(その場から立ち去ろうとする)

マサイ「待ってください!あなたの値段を教えてください!あなたの値段で売ります!」

私「分かった。なら、500シリングでどや!?」

マサイ「え・・・?」(ここで、顔にどう出るか探る)

私「あー無理なら、もういいわ!もう、いらないいらない!」

マサイ「いや!!であれば、1000シリングで!なんとか!」

私「だめだって。俺は500シリングって言ってんだから、500だって!」

マサイ「800で!」

私「分かった!わかった!2個で1000でどや!?」(一個500は変わってない)

マサイ「・・・・OKです・・・・」(少し不機嫌そう)

アフリカ人の特徴として、めっちゃ表情が豊かである一方、不満も顔にめっちゃ出る特徴がある。嬉しい時は笑う。不満な時はつまらない顔をする。分かりやすい。だから、「不満な表情」を持ちつつ「私に売る」ってことは、「損はしていない」けど、「儲かってもいない」ってことだ。買う側の私としては、値切り交渉成功だ。そんな感じで2-3時間マサイと戦っていると、一つ自分の中では規則性が出来た。

「マサイが言ってくる値段の1/3ぐらいの値段までなら値切れる」

と。

そこから、基本、すべてマサイの言い値の1/3まで値切りまくって買いまくった。途中から、買い物というか、この値切り交渉のほうが面白くなってしまった。買い物を終え、ふと買ったものを冷静に見つめてみる。インドで一緒に戦う相棒と私の「ペア」のマサイ土産を買った。

マサイが作ったシマウマ・・・。私と相棒のオソロ。インドでの今後の発展をマサイが祈願してくれている。喜んでほしいな。相棒。要らないって言っても、無理にでも、絶対に彼の机に飾らせよう。

にしても、シュールなシマウマだぜ・・・しかも、マサイ製ってところが更にジワる。

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