1月26日午前、本拠地ムンバイをボスと一緒に出発する。向かう先は、ムンバイから片道4時間ほどのところに位置する都市「Pune」だ。ここで、今晩マラソンが開催されるのだ。この日のために、仕事の合間を縫うようにジムやロードでトレーニングは詰んだ。海外のマラソンに出場するのは6年ぶり。確実にフルは走れないと悟り、まずはハーフからいっちょやってみるかということでエントリーした。
スタート時間は深夜0時
インドの道は基本的にどこも日中は無茶苦茶混んでいる。それに加えて、現在、ムンバイは30度を超える猛暑日か始まり、雨季前の夏がやって来た。それもあってか、日中マラソンでもしようものなら死者が出てもおかしくないような日照りとなる。道路の問題、気候の問題はあるにせよ、だからと言って、まさか深夜の0時にスタートとは・・・その計画を立てるあたりがこれまたインドっぽい。完全にぶっ飛んでいる。まずは土曜日にホテルにチェックインを済ませしばし待機。ホテルも、これまた一泊4000円ほどの安宿をとった。
「ボス・・・こういう感じの安宿泊まるの、12年前のバックパッカー以来です笑」
取り敢えず、ホテルはスタートラインから目と鼻の先の所に位置する。なので、スタートギリギリまで休憩できる。スタート時間が近づいてきたので、現地に向かう。すると、そこには、突然のサプライズが・・・なんと、弊社のインド店のナショナルスタッフのアムルットがスタートラインで我々を待ち受けていたのだ。
これにはストーリーがある。12月に事務所で彼と会った際に、ふと会話した。その時、彼はランニングをしていると私に語っていた。なので、ボスと私はPuneのハーフマラソンに出るよ!じゃまた!スタートラインで会おう!と冗談まじりで最後オフィスで別れた。それ以降は、元々アムルットと私は担当の仕事が異なるため、日頃からコンタクトは取らない。なので、まさか本当にスタートラインで待ち構えているとは全く思わなかったのだ。
「スタートラインで会おうと約束しましたよね!?」
と彼はいうが、こちとら半分冗談だったんだぞ・・・なんてニクイ男だ・・・。
0時30分スタート
国際マラソンといいつつも参加人数はそれほど多くない。ゆえに、素人ランナーの私は、まさかビリになるのではないだろうかと思うほど、ガチメンツが周りにひしめき合う。エチオピアからのランナーもフルマラソンの方にエントリーをしており、不思議と細身のインド人や、アフリカ人を見ると、明らかに自分より速そうに見えてしまった。ビビっているのも束の間。早速ハーフマラソンがスタート。序盤は軽快に飛ばす。良い滑り出しだ。マラソンとは、アドレナリンがめちゃくちゃ出るので、スタートは間違いなく自分の実力以上のものが出る。ペースも自分が思っているよりも絶対早くなる。それを経験していたため、自分は敢えてゆっくり走ることを決意。
- 3キロ経過。今のところ問題ない。しかし、あれ?3キロってこんなに疲れるっけ。。。と違和感が出始める。明らかな疲労。練習不足。
- 6キロ経過。間違いない。疲れている。そして既に歩きたくなるこの気持ち。だが、歩いた瞬間そこで試合終了。止まったら、再度走るのは極めて困難になる。
- 8キロ経過。歩く。もうだめ。確実に辛い。足痛い。
- 10キロ経過。頑張ってゆっくり走る。この時10キロは1時間でなんとか通過。
- 13キロ経過。もうダメだ。走れない。確実な練習不足。
- 15キロ経過。13キロからまだ2キロしか過ぎていないのかよ・・・
- 16キロ経過。1キロが長い。でも取り敢えず先を考えるな。まずは1キロ進むことに集中だ。
- 17キロ通過。無双状態。インドのマラソンで給水ポイントがある。そこで、インド人がペットボトルの水を渡してくれる。その際、インド人の優しさなのか、、、キャップが完全に空いていて、水が少し減っていることに気がつくも、それを危険とすら思わず飲むようになる。突っ込む余裕なし。心の中では、頼むから「キャップを閉めた状態で俺に水をくれ」と泣き叫ぶ。
- 18キロ通過。深夜2時。俺は一体インドで何と戦っているんだ・・・と自問自答。あと3キロが果てしなく長い。給水所で、オレンジやバナナが配られる。これも優しさなのか、皮を剥いてくれている。その優しさ・・・・全然いりません・・・。できれば皮付きでください・・・日本人は、「果物に触れているあなたの手」の衛生管理が悪いから、結局食い物で腹壊すんです・・・
- 19キロ通過。不意に水を飲みすぎたせいか、若干の腹痛と便意が。まずい、やば過ぎる。無論深夜のインド。マラソン中。トイレなんてもんはない。ゴールも遠い。足も動かない。軽く小走りでやっと先へ進める状況。もはや、八方塞がり。
- 20キロ通過。後1キロ。最後の力を振り絞る。まだ見えぬゴール。もう走れない。ガチできつい。
- 21キロ通過。ボロボロで小走り中、先にゴールをしていたボスから激励。もうすぐゴール。
- ハーフ完了。終わった・・・・。到達した。2時間40分・・・・地獄のハーフ完了・・・・この時深夜3時をまわった。
ホテルに帰る途中、突然アムルットが過ぎる。「そーーーリーーーー!」と足を引き摺りながらラストラン。ゴールは目の前、最後の男気を見せる。「アムルット!!!頑張れーーーー!」と激励をしつつも、ひっそりと、「スタッフに勝ててよかった・・・」と、肩を撫で下ろし、安堵する器の小さい私がいた。
マラソンから学ぶもの
マラソンはきつい。今このブログをベットで書いているが、まだ普通に歩けないほどの筋肉痛。3月3日から出張を控えているが、後1日でどれだけ回復できるのか疑問。しかし、達成感はある。また実感する・・・マラソンとは、「前に足を出せば、必ずゴールに到達する」というシンプルな競技。諦めない心、それが大事。諦めなければ必ず達成できる。そんなシンプルなコンセプト。
次のターゲットは
11月開催予定「アダニ・アーメダバードマラソン」。
弊社の最も重要なインドのお客さんのアダニ財閥が主催するマラソンが11月にある。今度はこいつに挑戦だ。そして、来年1月に来たるムンバイフルマラソン、これに照準を合わせてトレーニングを積む。